住民参加型林業から考える森林保全
森林減少の原因
まず、森林減少の原因について考えてみたいと思う。森林減少の原因として、焼畑、薪炭生産などの途上国の貧困によるものと、用材生産や熱帯林貿易、フロンティア開発などの、経済発展を目指した活動の両面が指摘されている。特に、用材生産と企業的フロンティア開発は、大規模資本を投下することで、熱帯林減少の主な要因となっている。
植林から考える持続可能な林業
前述でも述べたように、用材生産や企業的フロンティア開発が森林減少の主な要因となっている以上、木材生産を今より抑えるということは、実際には難しいと考えられる。そこで、木材生産を維持しつつ、森林減少に歯止めをかけようとする動きが生まれつつある。これに伴い、木材規制と輸出代替、森林認証制度、植林、アグロフォレストリーなどの対策が検討されているが、今回は植林に注目して、持続可能な林業について考えてみたいと思う。製紙、用材生産、木材貿易を行う企業にとって、植林は、大資本に見合った木材を安定的に確保するために、必要である。植林に使用する木として注目されている樹木は、ユーカリである。ユーカリは、成長が早く、植林に適している。しかし一方で、ユーカリ植林には問題点も存在する。ユーカリ林には、食用になるキノコや果実などは繁殖しないため、林産物の利用は限られ、現地住民が享受出来る外部経済が減少してしまうのである。また、植林は本来、伐採地や荒廃地に行われるべきであるが、近年ではコミュニティ林にも拡張されているため、現地住民の森林利用や、慣習的な財産権が制限されることもあり、この点も問題視されている。実際に、コミュニティ林における植林が発端となり、1985年11月〜1988年4月の期間だけでも、タイ東北部を中心に12件の紛争が起きたというデータが存在している。このことから、植林を行うには、地域住民の理解が必要不可欠であるということが窺える。植林の問題点は、この他にもある。民間の植林が進展していないということも、植林を進める上で非常に問題である。タイの植林のデータによると、タイでは、企業植林はわずか3％しか行われていないという。植林の収益性の低さ、将来収益の現在価値の低さから、民間の植林は中々進展しないのである。以上のことから、植林には現地住民の参加が必要不可欠であるということが窺える。これらの点から、住民の財産権を考慮しながら、地域コミュニティによる、住民参加型の持続可能な林業を考えることが望ましいと考えられる。この住民参加型の植林は、現地住民にとっても、「アグロフォレストリー」を考える上で重要である。「アグロフォレストリー」とは、森林の多面的機能を利用する林業のことであるが、現地住民に対して、樹木の利用や管理など財産権を認めれば、不法占有であったとしても、アグロフォレストリー目的に、森林の適正管理のインセンティブが生まれ、現地住民にとっても、森林保護活動にとっても有益である。実際に、カナダのNGOであるIDRCでは、1970年代からアグロフォレストリーを重要視した植林・造林が行われている。以上のことから、植林を考える上では、やはり現地住民参加型の林業が望ましいと考えられる。現地住民参加型の林業が普及すれば、森林・生物多様性の保全を目的とした、自然保護区の設置も促進されることが考えられ、非常に効率的である。また、地域コミュニティの現地住民や、ローカル・コモンズの管理を活用することにより、少ない経費で持続可能な林業や、森林・生物多様性の保全を図ることも可能となる。住民参加型の林業が、今以上に普及することを期待したい。
森林減少の原因
まず、森林減少の原因について考えてみたいと思う。森林減少の原因として、焼畑、薪炭生産などの途上国の貧困によるものと、用材生産や熱帯林貿易、フロンティア開発などの、経済発展を目指した活動の両面が指摘されている。特に、用材生産と企業的フロンティア開発は、大規模資本を投下することで、熱帯林減少の主な要因となっている。
植林から考える持続可能な林業
前述でも述べたように、用材生産や企業的フロンティア開発が森林減少の主な要因となっている以上、木材生産を今より抑えるということは、実際には難しいと考えられる。そこで、木材生産を維持しつつ、森林減少に歯止めをかけようとする動きが生まれつつある。これに伴い、木材規制と輸出代替、森林認証制度、植林、アグロフォレストリーなどの対策が検討されているが、今回は植林に注目して、持続可能な林業について考えてみたいと思う。製紙、用材生産、木材貿易を行う企業にとって、植林は、大資本に見合った木材を安定的に確保するために、必要である。植林に使用する木として注目されている樹木は、ユーカリである。ユーカリは、成長が早く、植林に適している。しかし一方で、ユーカリ植林には問題点も存在する。ユーカリ林には、食用になるキノコや果実などは繁殖しないため、林産物の利用は限られ、現地住民が享受出来る外部経済が減少してしまうのである。また、植林は本来、伐採地や荒廃地に行われるべきであるが、近年ではコミュニティ林にも拡張されているため、現地住民の森林利用や、慣習的な財産権が制限されることもあり、この点も問題視されている。実際に、コミュニティ林における植林が発端となり、1985年11月〜1988年4月の期間だけでも、タイ東北部を中心に12件の紛争が起きたというデータが存在している。このことから、植林を行うには、地域住民の理解が必要不可欠であるということが窺える。植林の問題点は、この他にもある。民間の植林が進展していないということも、植林を進める上で非常に問題である。タイの植林のデータによると、タイでは、企業植林はわずか3％しか行われていないという。植林の収益性の低さ、将来収益の現在価値の低さから、民間の植林は中々進展しないのである。以上のことから、植林には現地住民の参加が必要不可欠であるということが窺える。これらの点から、住民の財産権を考慮しながら、地域コミュニティによる、住民参加型の持続可能な林業を考えることが望ましいと考えられる。この住民参加型の植林は、現地住民にとっても、「アグロフォレストリー」を考える上で重要である。「アグロフォレストリー」とは、森林の多面的機能を利用する林業のことであるが、現地住民に対して、樹木の利用や管理など財産権を認めれば、不法占有であったとしても、アグロフォレストリー目的に、森林の適正管理のインセンティブが生まれ、現地住民にとっても、森林保護活動にとっても有益である。実際に、カナダのNGOであるIDRCでは、1970年代からアグロフォレストリーを重要視した植林・造林が行われている。以上のことから、植林を考える上では、やはり現地住民参加型の林業が望ましいと考えられる。現地住民参加型の林業が普及すれば、森林・生物多様性の保全を目的とした、自然保護区の設置も促進されることが考えられ、非常に効率的である。また、地域コミュニティの現地住民や、ローカル・コモンズの管理を活用することにより、少ない経費で持続可能な林業や、森林・生物多様性の保全を図ることも可能となる。住民参加型の林業が、今以上に普及することを期待したい。
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